Merry Care Shop(メリーケアショップ)
チューブやガーゼの固定などに使えるかわいいデザインの皮膚用テープ「メリーケアテープ」を販売しているMerry Care Shop
どんなきっかけでメリーケアテープが生まれたのか、どんな想いで事業をおこなっているのかについて、代表の松下さん伺いました。
メリーケアテープはどのようにして生まれたのでしょうか?
早産で息子を出産した経験がきっかけになっています。息子は予定より3ヵ月はやく、27週で生まれました。体重はわずか500g台。手に収まるくらいの小さなサイズでした。
生まれてすぐ保育器のなかに入った息子は、人工呼吸器や点滴などあらゆる管に繋がれており、その姿が私にはとてもショッキングだったんです。
その後、5ヵ月で退院し、おかげさまで2歳になった今ではすくすくと育ってくれています。しかし、あの時の息子の姿を忘れることはありません。それと同時に、「私にできることは何かなかったのか?」という後悔の念も生まれるようになりました。
それで思いついたのがメリーケアテープです。
たくさんの管に繋がれていた当時の息子。その管にカラフルでかわいいテープが貼られていたら、少しでも私たち家族の気持ちは晴れやかになったのではないか?と考えました。
人によってはテープに直接絵を描いたり、楽しくなる工夫をしているとも聞きました。手作りのものもとても素敵なのですが、不織布に絵を描いたり、剥がれにくいように角を丸く切ったりするのは意外にも大変で根気のいる作業です。だからこそ、誰でも手に入れやすい既製品で、かわいいデザインのテープがあればいいと思いました。
メリーケアテープにはどんなこだわりがあるのですか?
パッと見て、親しみやすくてかわいらしいデザインが特徴です。
色はイエロー・ピンク・ブルーの3色をご用意しており、それぞれに動物やハート、水玉模様などのイラストを配置しています。明るくて、彩度の高い色合いをあえて選んでいるのもこだわりです。
サイズは3種類あります。そのまま使える小さい四角形の「ステッカー」、好きな長さに切って使える帯状の「テープ」、自由な形に切って使えるシート状の「シート」です。
四角形の「ステッカー」は、四隅を丸く施しているので、チューブや肌に貼ったりしても剥がれにくく、肌馴染みもいいようになっています。
今のデザインに仕上がるまで約1年半の構想を経ています。特別支援学校の生徒さんたちに試作品を使ってもらったりし、「もっとこうしたらいいのでは?」といったご意見を参考にしました。
たくさんの方のご協力のおかげで、販売後も「見た目がすごくかわいい」や「使ってみても固定力に問題はない」と、デザイン面・機能面ともにうれしい評価をいただいています。
販売にいたるまで大変だったことは何ですか?
製品化に協力してくれる工場を見つけるのが大変でした。個人での製作であること、大量生産がむずかしいということがあって、小ロットでも対応してもらえる工場はなかなかありませんでした。
何社か声を掛けましたが、「このロットじゃだめ」とか、思うような取り扱いテープがなくて…。
今の工場は、メリーケアテープのコンセプトを伝えたところ、「まず会ってお話を」と言ってくださったんです。息子の写真を見せながら、どんな場面でどういう人が使うのか、このテープによってどんな風に人の役に立つのかというのをお伝えしたところ、「こういう世界があるんですね」と共感してくれました。工場のみなさんも、メリーケアテープで生まれる笑顔を楽しみにしてくださっています。
チャーミングケアモールにはどんな印象をもちましたか?
「見た目のケア」という部分にとても共感しています。
実際、私も子どもの入院中、ケアしやすい洋服やかわいいアイテムがほしいと思っていたのですが、そういった商品を探すのはむずかしいと感じていました。
探すにもどこを探せばいいのかわからないですし、見つけたとしても、自分がほしいものとちょっと違ったりして…。でも、うまく探せていなかっただけで、実際はたくさんの素敵な商品が当事者の思いから生み出されているんです。
それがひとつのショップに集まっているというのはうれしいですよね。かわいいものを比較しながら選べるというのは、ニッチな商品であればあるほど当たり前のことではないので。
一般的な洋服を選ぶのと同じように、ほしいものを比較しながら選ぶという体験がチャーミングケアモールを通して当たり前になってくれればうれしいです。
最後に、Merry Care Shopの今後の展望を教えてください
まずは、メリーケアテープのデザインをもっと増やしていきたいと考えています。多くの人が「これかわいい」「これもいいな」とワクワクしながら選んでいただけるように、商品ラインナップを増やしたいです。
また、より多くの方にメリーケアテープの存在を知っていただければと思うので、イベントなどにも参加していきたいです。
医療用テープもデザインや好みで選べる時代がくるように。それが特別なことではなく、当たり前の時代になるように、と思っています。
関連記事