子どもの障害をきっかけに、インクルーシブ学童施設を設立!横須賀の肝っ玉母さん

子どもの障害をきっかけに、インクルーシブ学童施設を設立!横須賀の肝っ玉母さん

#働くを諦めない というスローガンのもと、病気や障害のある子どもを育てるお母さんたちの働くことを応援したいと、チャーミングケアでは「アンバサダー」制度を導入し、チャーミングケアモールのマーケティングや記事ライティング・音声配信の文字起こしなど、様々なことに関わっていただいています。

ただチャーミングケアでは、あくまでアンバサダーという関わり方で、正社員雇用で就労してもらっているわけではありません。
雇用の創出も含め、病気や障害のある子どもを育てる母親の就労支援をしている団体の話を聞いて参考にさせていただこうと横須賀市に所在を置く一般社団法人sukasukaippo(すかすかいっぽ)の代表五本木愛さんにお話をうかがいました。
*五本木さんのインタビューに関しては、後ほど音声配信でも楽しんでいただけるよう準備しております。

なんと6人のお子さんがいて、さらには40代で既にお孫さんもいる五本木さんは、とても素敵な笑顔で、課題解決のために思い描いた事を着実に実現化しておられ、その素晴らしい取り組みについて語ってくれました。



一番下の子がアンジェルマン症候群という疾患だということが、生まれて1歳になった頃にわかりました。
たくさん子供を育てていると多少のことで動揺はしないのだけど、子育ての中で「あれ?」という違和感を感じて医療機関を受診しました。
子どもに障害があるとわかった時、とてもショックを受けました。
子供もたくさんいたし、それまでの人生経験いろんなことがあったけれど、人生の中で一番ショックでしたね。
自分の責任のように感じて、自分が悪かったのではないかと自分自身を責めました。

 

娘に対して申し訳ないと感じた。

結婚して出産してという娘の人生の見通しをうまく立てられないことに対して、とても罪悪感を感じました。

疾患がわかったときは、本当に落ち込んでしまって毎日泣いて過ごしていました。

けれど、アンジェルマン症候群の特徴として、いつも子供がニコニコしているという特徴があり(躁鬱の躁状態が続いている状態が続く)、それをみていたら、子どもの障害について可哀想だとか幸せじゃないとかそういう感覚というのは親である自分の偏見なのではないかと気づき始めました。
彼女は彼女らしく自分の幸せを見つけるべきだし、それを支えるのが親の役割だと気づいたのです。

そうすると泣いている場合じゃないと思うようになりました。

 

この子を幸せにするために何ができるだろう?できることは全部やりたい

最初に考えたのはいわゆる親なき後の問題でした。

兄弟はたくさんいるので兄弟にお世話をして貰えばと思われがちだけど、それは違うと思ったんです。

兄弟には兄弟の人生があり、彼らも自分たちの幸せを生きるべきなので、そうなると本人の自立を目指すことを考えないといけないと思いました。

娘はおそらくこの生まれ育った横須賀の土地で長く過ごすことになる。
過ごしやすい地域づくりをしなければと考えるようになりました。

よりたくさんの人に知ってもらいたいと娘自身にインクルーシブ教育での保育を受けさせたいと希望しました。
普通級の幼稚園と療育センターの両方に通えるようにお願いして、兄弟が多かったこともありみなさんとても温かく迎えてくださり並行通園できるようになりました。

そんな時、療育センターで役員になり)行政会議に出席するようになりました。そこで障害児に関する情報量の少なさを実感するようなりました。

できれば通っている療育センターには情報を共有したいと保育通信を作るようになり、行政からの情報を広報するようになりました。
自分の通っているところだけでは不十分だなと感じるようになり、2016年にホームページを立ち上げ、市民活動団体として情報提供をするようになったのが活動や事業の起点です。

障害者が働くってどういうこと?など、病気や障害のある子どもたちの親が知りたい子どもの見通しに対する情報を発信すると、非常に好評を得ました。
その活動の中で、取材先に行くと、地域で働くところと需要と供給のバランスがアンバランスなので、就労先がなく困っている人がたくさんいる声をたくさん聞くようになりました。

 

ないものは自分たちで作ろう!から始まった事業

就労先がないという課題は自分達の子供にも関係があるけれど、地道に行政へ働きかけをして実現化できる頃には、自分たちの子供がそのサービスを受けるタイミングが間に合わないのではないかと疑問を持つようになり、ならば自分たちで作ろうと始動し始めました。
2017年、横須賀テレワークという事業を開始しました。

商工会議所の会員になり、商工会議所とコラボレーションして8人ほどの病気や障害のある子供を育てるお母さんグループがタッグを組みました。
これは2021年現在、登録ワーカーは90名を超え、市内取引企業も50社を超えています。また、横須賀市からひとり親の就労支援委託も受け、障害者就労援助センターとも連携を取るようになりました。
在宅での仕事がメインですが、時短での通勤など多様な仕事を受けるようになっています。

商工会議所と一緒に地域に根付いた雇用や情報共有、広報などを連携しています。
障害者雇用のサポートも行っていて、その人に合った形の働き方を実現させたいと考えています。
在宅という働き方ももちろんですが、もっと当たり前に地域企業へ障害者の方が働きやすい環境を整え受け入れてもらえるようなシステム作りを目指しています。

 

2018年にはインクルーシブ学童施設も設立。


障害差別や偏見を少なくするには小さい頃からの教育が大切だと感じ、病気や障害のある子どもと通常級の子どもを一緒に混じり合える「学童」にこだわりました。
健常の子、障害のある子、どっちかが我慢するのではなく「友達」として過ごせる空間を作りたいと考えています。
現在は31名の児童をお預かりし内半数が支援の必要な児童です。

保育所と美容室も運営しており、保育所を運営しようとしたときに商店街で場所を借りたとき、2階の活用法としていいものはないかと考えました。

たまたま妹が美容師をしていて、多動のある娘の髪をずっと切ってくれていたけど、他のご家庭のほとんどは親が髪を切るケースが多いことが頭に浮かびました。
その課題を解決できないかなと考えて、妹に美容室経営を依頼し、隣接した美容室を開業しました。
現在保育所は認可外から横須賀市初の公的な一時預かり保育事業へと変わりました。利用人数も増え、公的な施設になったため利用料も安くなり沢山のかたに利用していただけるようになりました。併せて待機児童の受け入れもしています。
美容室の方も予約が常にいっぱいの状況で、たくさんの障害児のお子さんが来てくれています。

事業の根底にあるのは、自分たちの子どもが、自分たちの生まれた場所で過ごしやすく生きていけるための整備をしていきたいという思いからなので、次は中学生の居場所を作りたいと考えて学習障害のある子どものサポートをしたいと2021年4月から日本財団の助成も受け支援の必要な中学生対象の学習支援事業をスタートしています。

今は、重症心身障害の子も見れる放課後デイサービスを作りたいを考えています。というのも、よく耳にするのがお風呂の問題で、ゆっくりお風呂に入れる施設を作りたいと考えています。

 

衣食住全部揃ってQOLの向上。それを一つ一つ解決していきたい

ここ数年で色々事業を進めましたが、やはり話の根底はどこまでいっても私は親なので、自分の子どもが幸せに生きていける環境を整えていくことを使命だと考えています。
単純に子どもが生きていけるための金銭的財産を残すだけではなく、生まれ育っておそらくその後も暮らしていくであろう地域で、子どもの特性を理解してもらいが愛され、みんなが暮らし良い環境を整えるのが親である私の役割なのではないかと考えています。

 *こちらの記事に関して、続編の追加取材などがありますので、以降整い次第アップさせていただきます。

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