病気や障害があっても、かわいくお手頃な服を!「アルトタスカル」バリアフリー服ができるまで

病気や障害があっても、かわいくお手頃な服を!「アルトタスカル」バリアフリー服ができるまで

裏返しに着ても大丈夫な服、
小さく生まれた赤ちゃんにもぴったりのベビー服、
病気や障害があってもお着替えが簡単なバリアフリー服…

「アルトタスカル」は、育児のよくあるお悩みや、病気や障害のある子供の服の「こんなのあると助かる!」の声を実現する子供服ブランドです。
2021年にスタートして以来、SNSを中心に大きな反響が集まっています。

アルトタスカルの商品を作っている、株式会社チルドレン通信代表取締役 参鍋開人さんにお話を聞きました。

アルトタスカルができるまで

アルトタスカルは、他社との差別化のために生まれた自社ブランドでした。
単にデザインにこだわるだけでは流行に左右されてしまいます。
そこで「小さい子供ならではのちょっとした困りごとを、服の機能で解決する」という、時代が変わっても長く続けていけるコンセプトにたどりつきました。

最初の商品は、裏返しに着ても大丈夫な服「どっちもおもて」と、丈が長めの肌着「おなかでぬ」。
2021年1月にクラウドファンディングで販売されると、目標金額の倍以上になる約62万円の応援購入があり、喜びと期待のコメントが数多く寄せられました。

続いて2021年4月に低出生体重児向けの小さいサイズのベビー肌着「ちいさなふく」と、病気や障害で身体がうまく動かせないお子さんでも着替えがしやすい服「おしゃれバリアフリー」を発売。
その後も、前後裏表関係なく着られる服「ぜんぶおもて」、乾燥機にかけても縮みにくい「へいき!かんそうき」、反射素材で夜道でも安全な「ひかるふく」など、続々と新商品が生まれています。

特に反響が大きくメッセージに熱量が感じられるのは「おしゃれバリアフリー」シリーズ。
医療機器を身に着けていたり、体がうまく動かせなかったりして着替えが大変なお子さんの家庭が、服のことで切実に困っていることを実感するそうです。

2022年10月には、従来のバリアフリー服にはなかった、ハローキティやドラえもんのイラストがプリントされたキャラクターデザインのバリアフリー服を発売。
SNSで大きな反響があり、Twitterでの「いいね」は2万を超えました。

キャラクターデザインのバリアフリー服は、これまでになかった革新的な商品

アルトタスカルのアイテムを作っているのはどんな人?

アルトタスカルのブランドを運営しているのは、社長の参鍋さんとデザイナーの林さん、株式会社ブルーパドルの佐藤ねじさん。
ほかに2人のメンバーがページの作成などを担当しています。

林さんは、アルトタスカルの服のデザインをすべて手がけるアパレルデザイナー。
低出生体重児で生まれ、今でも医療的ケアを必要としているお子さんのママでもあります。
「ちいさなふく」「おしゃれバリアフリー」は林さん自身の経験から生まれました。

林さんの記事はこちらから
医療的ケア児を育てながら在宅アパレルデザイナー。自身の経験から生まれたバリアフリー服への想い

佐藤ねじさんは、PRとブランディングのプロフェッショナル。
かわいいイラストとやさしい文章で作られたイメージで、アルトタスカルのアイテムに込められた想いをたくさんの方に伝えています。

「ちいさなふく」の魅力を伝えるかわいいイラストとやさしい文章

参鍋さん自身は、実はもともと生命保険会社で社会人野球の選手をしていましたが、アパレル業界という全く別の業界に転職。
ちょうど参鍋さん自身にお子さんが生まれて間もない時期だったこともあり、子供服の事業に大きなやりがいを持って取り組んでいます。

全国チェーンの店舗販売を目指す

アルトタスカルの商品は現在オンラインのみでの販売ですが、将来的には全国チェーンのお店への展開も構想中とのこと。

これまで、病気や障害のあるお子さん向けのアイテムはオンライン販売が中心なので、実際の質感などがわかりにくいという問題がありました。
2020年にチャーミングケアが百貨店のマルイで商品を販売したとき、お客様の「商品を手に取りながら買い物ができて嬉しい」という声が印象的でした。
ほしいものが身近なお店で買えるようになるのは、とてもうれしいことですね。
商品開発に必要なのは、たくさんの「こんな商品、あると助かる!」
アルトタスカルが製品化を進めている新しいアイテムは、体が大きくなってもスタイを必要とする子供のための「大きなサイズのスタイ」。
大きいスタイといえば、特別支援教育就学奨励費で助成が受けられることもあり、チャーミングケアモールでも人気の商品です。発売が待ち遠しいですね。

子供服のさまざまな「あったらいいな」を形にしてきたアルトタスカルですが、今後どんなアイテムを作るか頭を悩ませているそうです。
「商品開発はまだまだ手探り。とにかくみなさんが実際にどんなことで困っているのかを知りたいですね。子供服で困っていることがあったら、ぜひご意見をお聞かせください」と話す参鍋さん。

これからも私たちの「こんな商品、あると助かる!」が、アルトタスカルでどのような形になっていくのか楽しみです。

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