「障がい者も健常者も、自分らしく働ける世の中に」ディンプルの障がい者雇用・定着支援事業は社員の熱い想いから
今回取材させていただく株式会社ディンプル(以下「ディンプル」)は、2021年に障がい者の雇用・定着支援事業を始動。
いつもチャーミングケアをご覧になっている、病気や障害のある子どもをもつ保護者の方にとって、将来の就労は気になる問題ではないでしょうか?
チャーミングケアアンバサダー事業では、以前ディンプル社長の木下充男さんへのインタビュー記事制作に携わりました。
そこで今回は、ディンプルの障がい者雇用・定着支援事業を提案した社員の才川貴大さんに、事業について伺いました。
もともと異業種出身だったという才川さん。
一体どのようなきっかけで障がい者のサポートをするようになり、どのような想いで事業を提案したのでしょうか?
もともとはアパレル業界出身。転職活動中の出会いで見つけたやりがい
才川さんは、障がい者雇用支援グループをまとめるグループ長。
就職・転職を希望する障がい者と、障がい者の採用・定着に取り組む企業の双方をサポートするのが仕事です。
実は、才川さんはもともと学生時代からアパレル業界で働いており、店長職まで務めていました。
しかし、その後のキャリアに疑問を感じて転職活動を開始。
そこで利用した人材紹介サービスでの出会いが、才川さんの人生を変えました。
才川さんは、自分自身がキャリアカウンセリングを受けてみて「 『誰かの悩みを聞き、解決のお手伝いをすること』が仕事のやりがいに繋がるのでは」と感じたといいます。
担当のキャリアアドバイザーの接客への熱心さにも感動し、人材紹介会社への転職を決意しました。
数ある人材紹介会社の中で選んだのは「障がい者の採用に特化した人材紹介会社」。
求職者と接するコンサルティングの要素が強いと考えたためです。
転職後、法人営業担当として約3年間勤務しました。
「障がい者の転職をサポートする役割に『やりがい』を感じていましたが、残念ながら事業再編に伴い人材サービスから撤退することになり、小売業での経験が活かせるだろうと考え、大丸松坂屋百貨店の関連会社だったディンプルに転職しました」
ディンプルでは、百貨店や商業施設内の小売企業を中心に「人材派遣サービス」「人材紹介サービス」の営業担当に従事していました。
しかし、心の中では「障がい者の支援にかかわる仕事がしたい」という気持ちが膨らむ一方です。
「プライベートタイムでも障がい者に関する書籍や厚労省、財団法人のレポートなどを確認するなど、情報収集だけは続けていました」
そんな才川さんに、転機が訪れます。
「ディンプルでも障がい者をサポートしたい」という想いが実現
ある日、ディンプルの社員から才川さんに「障がいを持つ知り合いが転職できず困っている」と相談がありました。
その方は、視覚と聴覚に障がいを持つ重度障がい者の50歳台の女性。
「事務職で転職先を探しているが、もう何十社と書類選考で不採用になっている」とのことでした。
詳しく話を聞いてみると、聴覚障がいも視覚障がいも程度や状態は人それぞれにも関わらず、採用担当者の思い込みで「事務職は難しいだろう」と書類選考の段階で不採用になっていることが分かりました。
「実際には、視覚はPC画面の拡大表示で入力可能、聴覚は少し大きめの声であれば口話可能、ということであり、更に数十年も経理・財務のお仕事に従事していることからも、必要な配慮さえできれば『十分活躍できる人材である』と考えました」
そこで、才川さんが派遣担当をしていた企業を中心に連絡。
これまで積み上げてきた知識と経験が生き、女性は無事に希望の事務職に転職できました。
「このことが引き金となり、益々、障がい者にかかわる仕事をしたいと思うようになりました。そして当時の上司からの支援のもと、木下社長との個人面談の場で自分自身の想いをストレートに伝えたことが、事業化・組織化検討の契機となりました」
こうして2021年に「障がい者雇用支援グループ」が発足。
才川さんは責任者として、就職・転職を希望する障がい者と、障がい者の採用・定着に取り組む企業の双方をサポートしています。
障がい者も健常者も、自分らしく働ける世の中に
才川さんは「障がい者も健常者も分け隔てなく『働きたいと思っている人、働く事ができる人』が、自分らしくきちんと働ける世の中にしたい」と語ります。
今後は障がいが目に見えて分かりやすい身体障がいだけではなく、精神・発達障がいなどの『目に見えない障がい』を持つ方を採用する企業が増えてくると予想されます。
「企業様によって状況は異なりますが、『どのような業務を任せればよいのか』『どのような方を採用すればよいのか』『採用後はどのような配慮をすればよいのか』といった不安や疑問をお持ちの企業様も一定数は存在するといえます。
そういった企業様の抱える『不安』『疑問』を、私たちが間を取り持つことで払拭し、安心して雇用できるように、安定して業務遂行できるように、企業様のご状況に沿った必要なご支援をしてまいります」
子どもの将来の就労が気がかりでも、実際に就労支援を行なう企業や社員の方について知る機会が少なく、具体的なイメージが持てずに不安を感じる保護者の方も多いのではないでしょうか。
ディンプルのように当事者に寄り添って一緒に考えてくれる企業と、社員のあたたかな思いがあることを、この記事を通して知っていただければと感じました。
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