チャーミングケアという、病気や障害のあるどんな子どもにも、子どもらしくいるための外見ケアやメンタルケアなどの重要性を推奨・啓蒙しているチャーミングケアの石嶋です。
チャーミングケアラボでは、WEB座談会を開催しています。
病気や障害の座談会というと、どうしても縦割りで同じ疾患での集まりが多いのではないかなと感じますが、チャーミングケアラボではいろんな立場の人に参加してもらって、意見交換を積極的に行なっています。
今回話をしたのは
アピアランスケアとは、主に成人のがんなどの分野で近年推奨されている「外見上のケア」のこと。
外見ケアはひいてはメンタルケアにも繋がるということで、医療従事者などからも注目されている。
そもそもアピアランスケアってどういうもの?
どうして「アピアランスケア」が子どもには及んでいないの?
ということを中心に意見交換を行った。
そもそもアピアランスケアってどういうものなのだろう?
現在、わたしが受けているアクセラレーションプログラムでご一緒している「エピテみやび」(群馬県)の田村雅美さんに少しお話を伺うことにした。
「エピテみやび」が扱っているのは「エピテーゼ」という人工指と人工胸だ。事故や手術で体の一部を失ってしまった人々。命は取り留めたものの、機能的・外見上の問題で積極的に活動できなかったりする。田村さんはそんな人達のために、「着け指」や「着け胸」を提供している。
エピテーゼとは身体の表面に着ける人工物の総称。義肢や義手などが有名で、義眼やかつらなども含む概念で、まさに外見ケアのために必要なものだと言えるだろう。そんな外見上のケア「アピアランスケア」についてどう捉えているのか?田村さんに伺った。
田村さん
わたしの扱っているのは、エピテーゼの中でも主に「着け指」と「着け胸」なんですね。付け指は、男女どちらもご依頼をいただきますが、やはり「着け胸」のご依頼をされるのは女性です。
普段は洋服を着ていたり、専用の下着なども出てきてるので、うまく隠せるんですが、とはいえ本来あるべきものがなくなってしまったという喪失感はとても大きいようで・・・
自尊心とか自己肯定感っていうんでしょうかね。そういう部分がやはり損なわれてしまうケースは少なくないです。
ですので「着け胸」をつけることで、少しでもその部分をケアできればというのがあると思います。
わたしのお取引をさせていただくのは、ほとんどが成人の方なので、そういう感覚がお子さんにも・・・というのは、正直石嶋さんにお話を聞くまで考えもしなかったです。
もちろん喪失する部位が違うだろうし、お子さんなので直接話をしたりご依頼をいただくことはないので、接点が少ないというのもあります。
でもお話を伺って、おそらくお子さんにもそういう「自尊心」「自己肯定感」っていうのはあるんじゃないかなと感じました。
そういうお子さんのために、わたしはどんなことができるんだろうって「チャーミングケア」の話を聞いてすごく考えさせられました。
アピアランスケアとチャーミングケアを考える
*参加してくれたのはASPJのメンバー3名とチーム小児がん保護者3名、看護師3名だ。ほんの一部を抜粋する
田村さんと同じ群馬県出身で、群馬の名産シルクを使用しヘッドスカーフを企画し販売しているのが今回座談会に参加してくれたASPJの角田真住さんだ。
ASPJは脱毛症やがんの治療などで髪を失ってしまった女性たちの団体だ。
パフォーマンスやイベントなどを中心とした活動をされており、アピアランスケアなど見た目問題の訴求を積極的に行っているASPJさんに、WEB座談会に参加してもらった。
(ASPJのメンバー 左から 角田真住さん,土屋光子さん,廣田純也さん)
角田さん
アピアランスケアそのものは、とくに医療機関の中では認知されてきているように感じます。例えば、患者ファーストの病院などでは抗がん剤の副作用で髪が抜ける、爪が変色してしまうなどに対してケアをしようという動きはあります。
でも実際には看護師さんやお医者さんは、やらなきゃいけないと思っていても、そこまで手を回せないのが現状のようです。
アピアランスケアって書籍とかが結構たくさん出ているんですが、ほとんどが「医療従事者としてのケア」なんです。
美容が与える精神への影響みたいなそう言った視点はもうちょっとあってもいいのになと感じるところではあります。
こういった「アピアランスケア」の実情を聞いて小児がん保護者から上がった声
- 子どもの世界の話と全然違うなって感じました。
- 治療上で優先しないといけないって言われちゃうと、やりたくてもやりにくかったかなと感じますね。
- 羨ましい。本当に羨ましい
- (子どもは)とりあえず生かすことが先決だという話ですよね。
- アピアランス専門でやってくれる先生があればありがたいとは思います。
- 選択肢があった上で、私はこうなのでこっちにします、という選択肢を増やしたいねってすごく思います。
看護師からは
- 看護師としては、なんだか申し訳ないのですが、声をかけられないというのが現実ですね。
- 大人の分野の時は、紹介するという意識はありましたが、小児に来てからはそういうことはないですね。正直、そういった知識自体ないかもしれない。
というような意見が上がった。
成人分野に比べると、羨ましいという感覚すらあり認識もされていない小児分野の外見ケア。
チャーミングケアラボでは、今後も引き続き座談会を開いていきたい話題です。
この座談会の詳細は「みんなのチャーミングケアラボラトリー」にて公開しています。
この座談会の様子をご覧になって、成人分野の外見ケアなどの考え方「アピアランスケア」と、わたしたちが啓蒙しようとしている「チャーミングケア」の世界観についてどのように感じられたでしょうか?
関連記事