旭川医科大学病院(北海道旭川市)は11月2日、AR(拡張現実)技術を使った「ARどうぶつえん」の運用を始める。北海道では初めて、全国では2施設目の常設導入となる。旭川医科大学病院と、サービスを提供するSTARIUM(神奈川県横浜市)の共同事業。
スマートフォンやタブレットを院内の空間にかざすと、画面上に実物大の動物が現れる。動物の生態と動作は、旭川市旭山動物園が監修している。
キリン、ホッキョクグマ、レッサーパンダを院内3か所に
設置場所と表示する動物は、2階の病院正面玄関ホールがキリン、4階のエレベーターホール前がホッキョクグマ、4階の病棟プレイルームがレッサーパンダ。
稼働時間は午前8時30分から午後5時までで、土日祝日を含め毎日利用できる。
同院は道北・道東の広い地域から患者を受け入れており、長期にわたり入院する子どももいる。入院や通院によって外出や動物と触れ合う機会が限られるなか、病院内で新しい発見や楽しみに出会える環境をつくることを目指している。
期間限定の体験から「いつでも会える」常設へ
旭川医科大学病院では、2年前にも期間限定で「ARどうぶつえん」を開催した。病院によると、目の前に現れる動物に子どもたちが目を輝かせる様子が、医療者にとっても印象に残ったという。
STARIUMはこれまで、医療機関を含む全国15の施設・会場、11都道府県で「ARどうぶつえん」の体験を提供してきた。埼玉県立小児医療センター、長野県立こども病院、群馬県立小児医療センターなどでは、期間限定のイベントとして実施されている。
一方、開催が終わって動物がいなくなることを寂しがる子どもの声もあり、一日や一週間の催しではなく、いつでも動物に会える常設化が進められてきた。
横須賀に続く全国2施設目、近大病院でも12月開始予定
医療機関で初めて常設導入したのは、横須賀市立総合医療センター(神奈川県横須賀市)。2026年3月2日から小児科で提供を始めた。
旭川医科大学病院はこれに続く全国2施設目となる。さらに、近畿大学病院(大阪府堺市)でも2026年12月下旬から、西日本初の常設導入として、小児病棟、小児外来エリア、院内の情報コーナーで順次運用を始める予定となっている。
地域企業の協賛で、病院の導入・運用費用を負担
常設運用を支えるのが「ARどうぶつえん こどもサポート」という仕組みである。地域の企業・団体が協賛し、システムの導入と運用にかかる費用を賄う。
公式サイトでは、導入する施設側に費用の負担や改装工事は必要ないとしている。横須賀では地域の事業者、旭川ではアデコ、OMO7旭川 by 星野リゾート、北見白樺ライオンズクラブをはじめとする企業・団体の協賛によって運営される。
旭川での導入にあたっては、旭川産業創造プラザが官民との調整を担い、北海道新聞旭川支社と札幌本社が協賛企業・団体の獲得に協力している。
旭山動物園が動物の動きまで監修
「ARどうぶつえん」は、建物内の空間をあらかじめ3Dマップとして取り込み、専用アプリを入れたスマートフォンやタブレットの位置と向きを認識して動物を表示するサービスである。
旭山動物園が動物の生態と動作を監修し、STARIUMとSoVeC(ソニーグループ)がアプリを共同開発している。SoVeCのVPS技術とロケーションベースARアプリ「XR CHANNEL」を活用しており、2024年度グッドデザイン賞を受賞した。
詳細は、ARどうぶつえん公式サイトに掲載されている。
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