父として。子どもの病気、障害。家族の形をみなおすときvol2
*こちらの記事はForbes JAPAN にて連載している『チャーミングケアで広げる家族の視点』の原稿文となります。
闘病中の子どもに付き添うのはいつも母親? 「父親」だからできること
原稿文を2回に分けて掲載しています。前回はこちら
父として。子どもの病気、障害。家族の形をみなおすときvol1
エンターテイメントの力で笑顔を届けたい
得意分野を生かし、立ち上がったお父さん
自身のお子さんの闘病経験をもとに、病気や障害のある子供たちのために自分のできることを形にしたいとプロジェクトを立ち上げたお父さんがいます。
2020年2月15日国際小児がんデーに合わせて開催した『LIVE EMPOWER CHILDREN 2020』を企画したEmpower Children の保屋松清人さんです。
(同イベントはEvery Little Thingさんや倖田來未さんらが出演するチャリティーライブで、その他多数のアーティストが参加されました)
収益は、全国の小児がん拠点病院や支援団体を通じ、関連施設の拡充やがん治療の研究費に充てられ、更に小児がんの子供たちにエンターテイメントの力で笑顔を届けたいという理念のもと、ライブの様子を国立成育医療研究センター内で入院患児らを対象に同時配信されました。
https://empower-children.jp/lec/
この素敵なイベントを企画した保屋松さんにお話を聞きました。
自分の子供ががんにかかるなんて・・・
当時の自分を振り返ってみると、とにかくがむしゃらに息子の命を守りたいという一心で行動していたと思います。
なかなか難しい種類のがんだったので、ありとあらゆる治療法をあたりました。
エイベックスで有名アーティストのマネージメント業務に携わっていたこともあり、子どもの闘病中、治療を嫌がって毎日泣いていたに同時期に入院していた子供にアーティストからのメッセージを手渡すと、治療に前向きなったことをきっかけに「エンターテイメントは生きる力を支える」ということを再認識し、今回の企画を立ち上げました。
僕も、仕事柄とても忙しく時間も不規則ですし、いわゆる家庭を顧みない父親だったと思います。子どもが病気になって、初めて家族と向き合うことを考えさせられました。
24時間体制の付き添いではなかったですが、1年半ほど子どもの闘病を家族で乗り越えました。
妻と役割分担を考えて、僕にできることはなんだろうと考えた時、とにかく子どもの命を守りたい、そのためにできることはなんでもしようととにかく情報をあたりました。
その部分が自分にできる役割だと認識していました。
闘病中、主に情報交換という形で他のお子さんのお父さんともコミュニケーションをとることもありました。
子どものメンタルケアに関して、その家族ごとにケースバイケースだと思いますが、うちの場合は病名の告知を本人にはしない方針で進めていました。
「お父さんが、きちっと病気を治すからね。心配しないで治療にあたりなさい」ということはしっかり伝えていました。
今となっては、それが良かったのかはわからない部分はありますが、僕のできる範囲の子どもへのメンタルケアだったかなと感じます。
外見ケアに関して、うちは男の子だったのでそんなに気にはならなかったと思いますが、治療上髪の毛は抜けてしまう事は初めに伝えて、抜けるんだったら先に切ってしまおうと、僕がバリカンで髪を切りました。
あとは、外見ケアとは違うんですが、抗がん剤で本当に食事ができない状況になってしまって、その際に好きだったお蕎麦屋さんのそばだったら食べられるかもしれないと言って、近所まで買いに行って病院まで運んだりというのはしてましたね。
保屋松さんからメッセージ
諦めずに一歩踏む出すっていうのが大切なのかなと感じます。自分も当事者家族という部分もあるので、言葉にするのは難しいですけど、家族の中であったり
自分の置かれた環境であったりの中で自分にできることをしてきたというのが今につながっているかなと感じます。
保屋松さんは、子どもの闘病中からの出会いで、嗅覚に優れた生物 ”線虫” によるがん患者の方の尿に含まれる微量な匂い物質を検知することを利用した新しいがん検査(『N-NOSE』https://hbio.jp/)を知り、小児がんへの活用を進めている。
『N-NOSE』https://hbio.jp
*Empower Children は、小児がん治療のためのチャリティーライブを小児がん拠点病院を始めとする様々な施設で、治療中で会場に来ることが出来ない子供たちに向けてもパブリックビューイングなのでライヴの模様を届ける活動にも取り組んでいる。
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