士業×障害のある子どもの保護者座談会 ー「成年後見人」と「親なきあと」
チャーミングケアという、病気や障害を持っているどんな子どもにも、子どもらしくいるための外見ケアやメンタルケアなどの重要性を推奨・啓蒙しているチャーミングケアの石嶋です。
についてWEB座談会を行いました。(協力:疾患別SNS ケアランド)
この話題を取り上げた理由は?
この話を取り上げようというきっかけは、インターネット上にあったあるニュースです。
財産管理を成年後見人に移譲したことで、今まで子供のために蓄えてきた金銭が必要なものですら全く使えなくなってしまったというような内容のもので、読んでいて不安感を感じました。
おそらく将来的に必ず向き合うであろう「親なきあと」問題への適切な対処法をしっかり話をしたいなと考えたのが、今回の座談会の大きなきっかけとなりました。
専門家の方も交えて、当事者が制度的な話もしっかりと把握ができる意見交換の場を設けようということになりました。
成年後見人とはどういうものなのか?どういう準備をしたらいいのか?というところに着目してWEB座談会を開催した。
●保護者側の疑問
- 「親亡き後の問題」という講習会に参加してみたがイマイチよく内容がつかめない。
- 結局自分がなくなった後に、子供がその後どうなってしまうのかな?
- 後見人を立てて準備したほうがいいのか?
- 遺書を今のうちから書いておいてくださいというような情報があるけど、どうやって書けばいいの?
- 障害児の数に対してその後見人の数が圧倒的に少ないので今のうちからいい人を確保しておかないと、騙されるようなこともあるって聞いたけど本当なの?
- 子供の名前で預金をしておかないほうがいいって本当?
- 一番身近な人って「きょうだい」じゃない?
- きょうだいにとって何が一番不安なの?
- 不安事はどこに相談に行けばいいんだろうか?
などの疑問が上がってきた。
今回そんな疑問にお答えいただいた専門家陣はこちら
小泉道子行政書士
15年間、家庭裁判所調査官として勤務した後、平成29年4月に独立。 現在は、離婚や相続などの家族の問題を扱う民間の仲裁機関(裁判外紛争解決手続)、「家族のためのADRセンター」を運営。 5年ほど前に東京家裁の後見センターに在籍。
藤木和子弁護士
弟に聴覚障害がある「きょうだい(障害のある人の兄弟姉妹)」の立場であり現役の弁護士。「成年後見」はきょうだいにも大きく関わるテーマであり、きょうだいの会での講師経験もある。
また、「シブコト障害者のきょうだいのためのサイト」を「きょうだい(Sibling=シブリング)のコトをきょうだいのコトバで話そう」をテーマに5人で運営している。
正木隆資司法書士
doors司法書士法人代表
司法書士補助者としては、平成7年より司法書士業に携り、平成12年より司法書士として活躍
成年後見の分野では、申立や後見人就任となどを経験。未成年者の後見は数回の相談を受けた経験がある。
今回のWEB座談会で、印象に残ったのは「漠然とした不安」というキーワード。
具体的にどの分野のどの部分に不安があるのか?が、不安に思っている保護者が亡くなった後の話なので掴みきれないというのが大きな課題である。
それに関しては、遺書を書いたとしても、後見人をつけたとしても、悩んでも悩んでも答えは出ない話なのではないか?という印象を受けた。
それほどに、病気や障害のある子どもを持つ保護者が子どもを思うが故に見えない不安を抱えながら日常を過ごしているということがうかがえる。
そして、もう1点。いざとなった時、その不安を受け止める先になりうる可能性が高いのが「きょうだい」であるということ。
*「きょうだい」とひらがなで書くのは、病気や障害がある子どもの兄弟姉妹のことを「きょうだい」と表現します。
きょうだいの立場で話をしてくれた藤木弁護士の言葉が耳に残る。
藤木弁護士
きょうだいは、お金の問題とその後のケアの問題に加えて、自身の進路選択や結婚とかそういった将来設計に不安を持っているところが大きいですね。
お金に関しては、きょうだいの扶養義務自体は自分の生活を犠牲にする必要はないんですが、それ自体を知らない人も多くいますね。
ケアは、実際関わっているきょうだいもいますが、親御さんが元気なうちにいろいろと聞いておきたい、福祉ともつながっておきたいけど、親御さんにどう話したらいいか・・・?というきょうだいも多いです。
やっぱり、きょうだいも「漠然とした不安」が子どもの頃からあります。自分が、進学や就職で実家を出たり、結婚とか出産したら、親と病気や障害のある兄弟姉妹はうまくやっていけるのかな?とか、結婚を考えている相手とかその親にどう説明しようかとかという部分が一番の悩みかなと思います。とても大切なことだから、家族で話し合っていきたい。親御さんの協力をいただいてきっかけ作りをしているところです。
「きょうだい」への伝達方法についても、考えていく必要性があるのではないかと強く感じた。
関連記事