退院後の暮らしを、病院のICU看護師が見に来た 小児訪問看護ステーションが実習を受け入れ

Qケア

入院中に「退院したあとのことは、病棟の看護師さんには分からないのだろう」と感じたことのある家族は少なくない。その距離を縮める取り組みが行われた。

小児特化型訪問看護ステーション「ファミリアナース」(運営:株式会社Lico perk、東京都目黒区)は9月29日、昭和医科大学病院ICUに勤務する看護師の実習を受け入れたと発表した。看護師は訪問看護に同行し、医療的ケア児が家でどう過ごし、家族が何に困っているのかを実際に見た。きっかけは、ICUの看護師からの「在宅療養の現場を知りたい」という相談だった。

急性期病院では見えにくい、退院後の暮らし

医療的ケア児が地域で生活するには、病院から在宅への切れ目のない支援が必要になる。しかし急性期病院では、退院後の在宅生活や家族の暮らしを知る機会が限られており、退院後に必要となる支援や生活環境を具体的に想定することが難しいという課題がある。

ファミリアナースは、病院の看護師が退院後の実際の暮らしを知ることが、家族の困りごとの軽減につながると説明する。同時に、訪問看護師の側も在宅療養へ移行する前に必要な情報を共有しておくことで、移行がより円滑になるとしている。

2件の訪問に同行

実習では、実習生が所属するICUでの業務とのつながりを意識し、関連する医療的ケアや経過のある利用者への訪問に同行した。

訪問先は2件。1件目は気管切開と胃管を使用している4歳児、2件目はCPAP(持続陽圧呼吸療法)、胃管、EDチューブを使用している2歳児である。

当日はまず、訪問時の注意点や個人情報の取り扱い、訪問する子どもの状態とこれまでの経過を共有したうえで、午前と午後に1件ずつ訪問した。訪問看護師によるケアや状態のアセスメント、家族への支援を見学し、その後に在宅療養の支援について意見交換を行った。

訪問先では、家族から「退院前にどのような支援があるとよかったか」「退院後にどのようなことに困ったか」といった、実際に在宅療養を経験したからこその声を聞いた。

訪問看護師との意見交換では、病院が退院時に提供する情報と、訪問看護が在宅での支援を始めるうえで必要とする情報を、双方の視点から確認した。

「家族が家族として暮らせるように」

実習に参加した昭和医科大学病院ICUの看護師、中嶋冬美氏は、ICUでは治療が優先されるなかで、退院後の在宅療養や家族の困りごとまで十分に捉えられていないという課題を感じていたことが参加の理由だったと述べている。

訪問を通じて特に印象に残ったのは、訪問看護師の実践力とコミュニケーション力の高さだったという。医療的ケアだけでなく、一人ひとりの特徴や家族の思い、生活環境に合わせて柔軟にケアを行っている点を挙げ、「今回の学びをICUでの支援にも活かし、家族が家族として暮らせるよう、病院と地域を切れ目なくつなぐ看護を実践していきたい」とコメントした。

ファミリアナース代表の宮川菜摘氏は、病院の看護師から在宅での子どもの生活を知りたいと相談を受けたこと自体を歓迎したうえで、次のように述べている。

「病院の看護師の方に退院後のリアルな生活を知っていただくことで、入院中にご家族へどのような情報を伝え、どのような準備をしておくとよいのかを考えるきっかけになります。一方で、私たち訪問看護師も病院での子どもやご家族の様子を知ることで、退院後に必要な準備や配慮ができ、より適切な支援につなげることができます」

「病院と在宅は別のものと考えられることもありますが、子どもたちとご家族にとっては、どちらも切り離せない大切なものです」とも述べ、互いの情報を共有しながら支えていきたいとした。

同社は今後も同様の相談があった場合には実習の受け入れを行い、在宅で暮らす子どもと家族の生活や支援を知る機会をつくっていくとしている。

ファミリアナースは東京都目黒区を拠点とし、新生児から20歳までの重症心身障害児や医療的ケアを必要とする子どもを対象に、小児科や小児専門病院での経験を持つ看護師が訪問している。

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出典

株式会社Lico perk プレスリリース