子どもの外見と内面、両側からのサポートを【副島 賢和先生インタビュー】
昭和大学病院で、院内学級を担当している副島賢和先生。ホスピタルクラウンとしても活動している副島先生は「あかはなそえじ」として、多くの子どもたちの心を支えてきました。今回は副島先生に、院内学級の現状や、病気による外見の変化に悩む子どもたちへの関わり方についてお話を伺いました。
療養中の子どもたちを支える院内学級
院内学級とは、学校教育法に基づいて病院内に設置される特別支援学級の通称です。病気やけがで療養中の子どもたちが利用するもので、院内学級の教員は子どもたちの学習や心理面のサポートなどを行います。
病気やけがで学校に行けない子どもは約50,000人いるといわれていますが、院内学級は全国におよそ200学級ほどしかありません。さらに、各都道府県の拠点病院にしか院内学級を設置していないケースが多く、療養中の子どもたちが満足に教育支援を受けるのは難しい状況です。
院内学級の現状について、副島先生は「教員不足ということもあって、残念ながら病弱教育に詳しい先生が院内学級を担当できるとは限らない」と話します。
もとは小学校教員だった副島先生も、院内学級を担当するにあたって、一から病弱教育について学び直したそうです。
困ったときの対処法を身につけられるような支援を
院内学級に通う子どもたちと関わるなかで、困ったときの対処法を教えるのも教員の大切な役割であると気づいた副島先生。外見の変化に悩む子どもたちには、周囲の人とのコミュニケーションの取り方について、カードゲームを通して教えることもあるそうです。
脱毛があって帽子をかぶっている子であれば、『なんで帽子かぶってるの?頭けがしたの?』と友だちから言われたときに、『ごめん、今は言えないんだ』と伝えられると、お互い嫌な気持ちにはならないでしょう。
副島先生は、子どもたちとの会話や遊びを通して、困ったときに助けを求める方法や、嫌なことがあったときの対処法について伝えることを意識しています。
大人は子どものモデルであると自覚することが大切
外見の変化に悩む子どもの復学にあたっては、教員やクラスメイトの姿勢も非常に重要だといいます。「復学先のクラスでは、教室のなかで困っている子がいたら助けてあげたり、相手が傷つくようなことは言わないと思えたりするような環境を作っておくことが大切だ」と副島先生は考えます。
子どもは、わからないことや知らないことに対して不安や恐怖を感じ、身近な大人を見てどのように対処すればよいのかを学びます。学校生活であれば、最も身近な大人である教員が子どもたちのモデルとなるため、″教員の反応=子どもたちの反応″であることを認識しておかなければなりません。
さらに副島先生は、子どものアピアランスケアについて「帽子をかぶったり化粧をしたりといった外見の変化への対処法を教えるのはもちろん、見た目の変化に悩む子どもたちの内面を支えていくことも大切だ」と話します。
教員をはじめとする学校・教育関係者は、子どものアピアランスケアに日頃から関心をもち、外見の変化に悩む子どもの支援に必要な知識を身につけておく必要があるのではないでしょうか。
副島 賢和(そえじま まさかず)先生
昭和大学大学院保健医療学研究科准教授。学校心理士スーパーバイザー。
都内の公立小学校教員として25年間勤務した後、2014年より現職に。現在も、品川区立清水台小学校昭和大学病院内さいかち学級アドバイザーを担当している。ホスピタルクラウンとしても活動しており、テレビドラマ「赤鼻センセイ」のモチーフとなったことでも有名。NHK『プロフェッショナル仕事の流儀』に出演
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