①子どものアピアランスケアに関してまとまった情報がないこと
医療機関や行政から情報提供がされない場合も多く、制度があることを知らないために利用できない方がいます。
②子どものアピアランスケアへの支援が不十分であること
がん患者向けの「アピアランスケア助成事業」を実施する自治体が増えていますが、自治体によって助成の有無や対象者・対象品目が異なり、必要な支援を受けられない場合があります。
そもそも、医療の現場や行政で、子どものアピアランスケアの必要性が十分に認識されていないことが問題の根本にあると考えられます。
小児がん患者には、チャリティ活動により小児用の全頭用ウィッグ1点がプレゼントされるケースが多くみられます。しかし子どもの成長に伴い1年~数年ごとに買い替えが必要だったり、衛生面を考慮して複数のウィッグをローテーションして使うこともあります。既製品がほとんどなく、オーダーメイドになるため価格も高額です。ウィッグには全頭用のほかセミオーダー型の部分ウィッグなど様々な種類があり、価格帯の相場は2万円~16万円程。
安価で低品質のウィッグは装着したときの違和感が大きく「ウィッグを着けている」とわかりやすいため、他者との違いに敏感な子どもの中ではいじめなどのトラブルの原因となるおそれがあります。各自治体の「アピアランスケア助成事業」は、子どものウィッグ購入費用が補助される唯一の制度ですが、アピアランスケア事業を行なっていない自治体では補助を受けられません。
私たちは、住んでいる自治体に左右されない支援を行政に要望しています。
管轄官庁 | 文部科学省 | 厚生労働省 | |
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実施主体 | 国・都道府県・市町村 | 市町村 | 都道府県・市町村 |
制度名称 | 特別支援教育就学奨励費 | 小児慢性特定疾患児 日常生活用具給付事業 |
アピアランスケア助成事業 (名称は自治体によって異なる) |
対象者 | ●特別支援学校や小学校・中学校の特別支援学級等に通う障害のある幼児・児童・生徒 ●通常の学級で学ぶ児童・生徒 |
小児慢性特定疾患児(小児慢性特定疾病医療受給者証を持っていて、対象となる種目毎の要件に該当する方) | がんと診断され、現在治療中の方・過去に治療を受けたことがある方(自治体によって異なる) |
補助対象 品目 |
通学費、給食費、教科書費、学用品費、修学旅行費、寄宿舎日用品費、寝具費、寄宿舎からの帰省費など 例:帽子、かばん(ランドセルが重くて使えない場合など)、肌着など通学に必要なもの(自治体によって基準が異なる) |
政令により定められている。がんの子どものアピアランスケアに関するものは「紫外線カットクリーム」 | 医療用ウィッグ、胸部補整具など(自治体によって異なる) |
現状の 問題点 (課題) |
●病弱児も制度の対象ですが、特別支援学校・特別支援級在籍ではない場合は情報が得にくいのが現状です。制度を知る機会がないために、利用できない方がいます。 ●義務教育外の未就学児は対象外です。 |
●助成対象品目が限られています。 ●世帯の所得に応じて自己負担があります。 ●小児慢性特定疾病ではない子どもは利用できません。 |
●実施していない自治体では助成を受けられません。 ●対象者・対象品目の範囲が自治体によって異なり、必要なものに対する助成を受けられない場合があります。 |
※下記画像をクリックすると、PDFでご覧になれます(6.7MB)
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チャーミングケアでは、「子どものアピアランスケア」小冊子を作成し
全国の小児がん拠点/連携病院・都道府県教育委員会・市区町村健康増進課に
約2万部を無償配布させていただきました。
こちらからダウンロードも可能です。是非、ご活用ください!
*助成調査データは2022年のものを掲載しています。
特別支援学校や特別支援学級に在籍していないと手紙などでお知らせがありません。子どもの助成制度のほとんどは、自ら申請をしなければなりません。
「知らない情報」に自己申請できるはずがなく、適切に使われていないのが現状です。
学校に通うための身だしなみと考えられるものが該当します。
● 帽子
● かばん(ランドセルが重かったりした場合)
● 肌着など
医療費助成の一環で日常生活用具給付事業
● 該当するもの…紫外線カットクリーム
2023年4月現在、子どものアピアランスケアに関しての情報がまとまって掲載されている場所がありません。
チャーミングケアでは、子どものアピアランスケアに関する情報をポータルサイトにて発信しています。
子どものアピアランスケアの支援は、医療だけに限らず多職種での支援が必要です。各オピニオンのインタビュー記事も掲載しています。